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【2013.07.25 Thursday 】 author : スポンサードリンク
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H17憲法第1問 評価B
第1.法律1
1.これは、飲食店が客に酒類を提供する自由を制約し、違憲ではないか。
2.(1) まず、この自由は営業の自由であり、「職業選択の自由」(22条1     項)として憲法上保障されると解する。
     なぜなら、営業の自由を保障しないと、「職業選択の自由」を保障した意味がなくなってしまうからである。
  (2)ア.としても、この保障も絶対無制約ではなく、「公共の福祉」(13条 後段)に基づく必要最小限の制約を受けうる。
     ここで、本問法律による制約が必要最小限かどうかの判断基準が明らかでなく、問題となる。
    イ.まず、上記自由は経済的自由権であるから、精神的自由権と比べて裁判所の判断能力が不充分であり、立法府の判断を尊重すべき要請が働く。
  また、種々の社会的費用の増大防止という目的は、政策的・積極目的といえるから、かかる要請はさらに強まる。
しかし、飲酒者自身の健康面への悪影響防止や周囲の者の迷惑防止という目的は、警察的・消極目的のようなものといえるから、裁判所の判断能力に欠けない。
ウ.そこで、最も緩やかな基準よりは若干厳格な基準で判断すべきである。具体的には、〔榲が正当で、⊆蠱覆合理的ならば、必要最小限の制約と考える。
(3)ア.本問法律の〔榲は、まず前述の消極目的については、明らかに正当といえよう。
また、種々の社会的費用の増大防止という積極目的については、社会経済の調和的発展という観点から、正当といえる。
イ.では、⊆蠱覆呂匹Δ。
(ア) まず免許制については、特に未成年者等がよく出入りするような飲食店もあり、そこで酒類を自由に提供してよいとすると害悪が大きいので、合理的といえる。
(イ) また、かかる判断は地方の実情に応じて具体的になすべきだから、都道府県知事に判断権を与えることも合理的である。
(ウ) さらに、酩酊者に酒類を提供すると、飲食店は比較的狭い空間なので、特に周囲の者への迷惑防止の面で害悪が大きい。
よって、これを免許取消事由とすることも合理的である。
3.したがって、本問法律による制約は必要最小限であり、合憲である。
第2.法律2
1.これは、道路その他の公共の場所において飲酒する自由を制約している点で、違憲ではないか。
2.(1) まず、この自由が憲法上保障されるか、特に幸福追求権として13条で保障されないか問題となるも、否定すべきである。
  なぜなら、人権のインフレ化防止のため、人格的生存に不可欠な利益に限って保障すべきところ、上記自由は人格的生存に不可欠な利益とはいえないからである。
  (2) としても、いかなる制約でもなしうるわけではなく、必要かつ相当な制約のみ許される。(比例原則)
  (3)ア.本問法律の目的は前述の通りであり、必要な制約といえる。
    イ.しかし、道路、公園、駅その他の公共の場所という広範囲で制約すると、ほとんど屋内でひっそりと飲酒することしか自由にできなくなってしまう。
  また、いちいち管理者の許可を得るのは煩雑であるから、上記広範囲の場所において、実質的に全面禁止するものといえる。
      さらに、違反者には拘留・科料という刑罰まで科せられる。
3.よって、相当な制約とはいえず、違憲である。
                              以上
【2005.07.20 Wednesday 21:46】 author : meanlife
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H17憲法第2問 評価B
第1.41条との関係
1.最高裁判所に法律案提出権を与える本問規定及び内閣の法律案提出権は、国会を「国の唯一の立法機関」とする41条に反しないか。
  国会は、他の機関の関与なしに法律を成立させることができる、という国会単独立法の原則に反しないか、問題となる。
2.(1) 思うに、「立法」過程の本質は、議決にある。
   なぜなら法律案が提出されても、それを否決・修正する議決ができれば、主権者たる国民(1条・前文)の代表機関たる国会(43条・42条)に立法権を独占させ、もって立法への民意の反映と国民の権利・利益保護を図るという41条の趣旨を実現できるからである。
   とすると、法律案提出権を他の機関に与えても、この趣旨に反しない。
  (2)ア. 他方、裁判所の専門的判断を要する事項(77条1項参照)について、最高裁判所の意思を反映する必要がある。
   イ.また内閣は、福祉国家理念(25条以下)実現のため、機動的に専門的な政策形成をするのに適した機関であるから、その意思を反映する必要がある。
3.よって、本問規定及び内閣の法律案提出権は、41条には反しない。
第2.76条との関係
1.(1) 本問規定が最高裁判所に与える法律案提出権は、具体的争訟に法を適用し宣言することでこれを裁定する国家作用ではないから、「司法権」(76条1項)に含まれない。
    ここで、本問規定が司法権の独立(76条1項・3項)に反しないか、問題となる。
  (2) そもそも76条1項が裁判所の独立を定め、さらに3項が裁判官の職権行使の独立を定めた趣旨は、他の機関からの干渉なく、非民主的・非政治的機関たる公平中立な裁判所・裁判官に司法権を委ねることで、国民特に少数者の権利・利益を擁護させる点にある。
   とすると、裁判所に他の機関が干渉し、裁判所の非民主的・非政治的機関性や公平中立性が失われる場合には、司法権の独立に反すると解すべきである。
 (3)ア.本問規定は、最高裁判所に権限を付与しているだけで、これに干渉しているわけではないとも思える。
     また、前述のように、最高裁判所の専門的判断を要する事項に、その意思を反映する必要はある。
    イ.(ア) しかし、最高裁判所に法律案提出権を認めると、政治的争いに巻き込まれて、その非民主的・非政治的機関性が失われかねない。
  また、最高裁判所が自ら提出した法律案の違憲審査・判断をする(81条)際には、その公平中立性に疑問が生じる。
  (イ) さらに、少なくとも法務省などは、本問規定事項についての専門的判断能力の点で最高裁判所に劣らないと思われるから、ここで法律案を作成し、内閣を通じて提出する方法もある。
        その上、司法権の独立を確保するため、一定事項については最高裁判所規則(77条1項)が法律に優先すると解されるので、あえて法律案提出権まで与える必要は小さい。
  (4) よって、本問規定は司法権の独立に反する。
2.他方、内閣については、その独立性を定めた明文はない。
  むしろ、議院内閣制(66条3項・67条1項等)により、国会が内閣に対し民主的コントロールを及ぼすことが予定されている。
  また、前述のように、政策形成に適した機関である。
  とすると、内閣は民主的・政治的機関である。
  そのため、内閣の法律案提出権が内閣の独立に反するかといったことは問題とならないのである。
以上
【2005.07.20 Wednesday 21:45】 author : meanlife
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H17民法第1問 評価E
第1.小問1
1.(1) Cとしては、Aからの保証債務の履行請求を拒みたいところである。
しかし、連帯保証人であるCには、催告(452条)・検索(453条)の抗弁権がない(454条)から、同請求に応じなければならないのが原則である。(446条1項)
(2)ア.ただ、まず主債務者Bは、Aとの請負契約(632条)では1時間当たり5000個程度の商品生産能力があるとされていたのに、実際には1時間当たり2000個程度の商品生産能力しかないという工場用機械の「瑕疵」修補請求権を有する。(634条1項)
なぜなら、工場用機械の商品生産能力の「瑕疵」は「重要」といえるし、修理が可能である以上、「その修補に過分の費用を要する」わけでもないと考えられるからである。(但書)
ただし、Bは「相当の期間を定め」ず、直ちに本件機械の修補を求めているから、相当の期間経過後に、この瑕疵修補請求権を行使できると解する。
イ.またBは、商品の十分な生産ができないことによる営業上の「損害」の賠償請求権も有する。(634条2項前段)
なぜなら同規定は、請負契約が瑕疵なき仕事完成義務を内容とすることから債務不履行責任(415条)の特則であり、「損害」には履行利益まで含まれると解される。
そして、本問Bの営業上の損害は、本件機械に瑕疵がなければ生じなかったといえ、履行利益にあたるからである。
  ウ.とすると、これらの請求権と、AのBに対する請負代金債権は、同時履行の関係にある。(634条2項後段・533条)
(3)ア.そこで連帯保証人Cは、主債務者Bの同時履行の抗弁権を援用し、Aに対して主張できないか。457条2項は「相殺」を対抗できるとしているが、同時履行の抗弁権については明らかでなく問題となる。
  イ.そもそも同規定の趣旨は、主債務に附従する保証債務を負う者に、主債務者の有する相殺権の援用を認めないと、求償の循環が生じ迂遠である点にある。
  そして、主債務者の同時履行の抗弁権についても、保証人にその援用を認めないと、求償の循環が生じる。
  よって、保証人は、主債務者の同時履行の抗弁権も援用できると解すべきである。(457条2項類推)
   ウ.本問でも、連帯保証人Cは、主債務者Bの同時履行の抗弁権を援用し、Aに対して主張できる。
エ.その範囲は、請負代金全額と考える。なぜなら、それが公平であるし、Cが全額について履行を拒むことにつき、信義則(1条2項)に反する特段の事情もないからである。
2.次にCは、主債務者Bの、前記損害賠償請求権とAの請負代金債権の相殺権を援用し、これをAに主張できる。(457条2項)
  この点、前述のように同時履行の抗弁権が付着していることから、「債務の性質がそれを許さないとき」(505条但書)にあたるとも思える。
  しかし、代金減額請求権的な性格を有し、現実に履行させる必要はないから、これにあたらないと解する。
3.(1) なおBは、前述のような不具合があったのでは本件機械を導入する意味がないと考えている。
しかし、修理が可能である以上、客観的に「契約をした目的が達成できない」とはいえず、解除権(635条)は有しない。
  (2) また、同条も債務不履行責任の特則と解され、債務不履行解除(541条・543条)の規定の適用は排除される。
第2.小問2
1.AD間に契約関係はない。
  そこでDは、Aに対し、修理代金分の不当利得返還請求(703条・704条)ができないか。
2.(1) まずAは、Bから請負代金全額の支払を受けているから、修理代金分の「利益」があると考えられる。
  (2) またDは、Bが行方不明となり修理代金を回収できないという「損失」を負っている。
  (3) そして、Bは本件機械に瑕疵があり、前述と同様に修補請求・支払拒絶できるのにAに請負代金全額を支払ったため、営業不振に陥り無資力となっており、その結果Dは上記「損失」を負っている。
  よって、上記「利益」と「損失」の間に社会通念上の因果関係もあると考える。
  (4) さらに、「法律上の原因」もないと考える。
  なぜなら、本件機械の瑕疵につき帰責性あるAは、Bから修補請求・支払拒絶されるはずなのに代金全額を受け取っている一方、Dは、Aが修理しようとしないためやむをえずBが修理を頼んだ者であり、実質的公平に反するからである。
3.よって、前記請求ができる。
                               以上
【2005.07.20 Wednesday 21:44】 author : meanlife
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H17民法第2問 評価E
第1.小問1
1.CはEに対し、Aから売買契約により譲り受けた所有権(555条・176条)に基づき、庭石の引渡請求ができないか。
2.(1) この点、Eは、Aから所有権を譲り受けたDから、売買契約により所有権を譲り受け、さらに庭石の引渡しも受けている。
よって、庭石の引渡しを受けていないCは、Eに対しその所有権を対抗できないのが原則である。(178条)
(2) しかし、Eの前主Dは、専らCに嫌がらせをする意図で庭石を譲り受けた背信的悪意者である。
そこで、かかる信義則(1条2項)に反する者の取引安全を図る必要はないので、CはDに対しては、庭石所有権を対抗できると解する。
(3) としても、これでAD間の所有権移転が無効になるわけではない。
また、信義則という当事者間の公平を図る原理に基づく以上、背信的悪意者かどうかは相対的に考えるべきである。
(4) よって、Eに背信的悪意があるとの事情がない以上、原則通りCは、庭石所有権をEに対し対抗できない。
3.したがって、CはEに対し庭石の引渡請求ができない。
第2.小問2
1.Bは、々壇效狼擇啣儀物に対する抵当権の効力は庭石に及んでいた(370条)△修猟馘権が登記により公示されている以上、これをEに対抗できる(177条)と主張することが考えられる。
2.,砲弔い
(1) そもそも抵当権は、目的物の交換価値を把握する権利である。
   そこで、目的物と価値的に一体をなす物は「付加して一体となっている物」にあたり、これに抵当権が及ぶと解する。
 (2) 本問で、庭石は建物・土地に伴っていることが多く、しかも200万円と高価なので、甲土地及び乙建物と価値的に一体をなしているといえる。
 (3) よって、「付加して一体となっている物」にあたり、,認められる。
3.△砲弔い
 (1) そもそも抵当権の効力が庭石に及んでいたのは、前述のように目的物と価値的に一体をなしていたからである。
 (2) そして、既に搬出されてしまっている本問では、目的物と価値的に一体をなしていない。
 (3) よって、抵当権の効力が庭石に及んでいたことが登記により公示されているとはいえず、△惑Г瓩蕕譴覆ぁ
                              以上
【2005.07.20 Wednesday 21:43】 author : meanlife
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H17商法第1問 評価E
第1.決議1
1.取締役Aについて
 (1) この決議は、取締役の「報酬」を株主総会決議事項とした269条1項に反し、無効となる(252条)のではないか。
 (2)ア.まず、取締役の退職慰労金も、通常の職務執行の対価たる性質を有する。
  また、退職慰労金の支給を取締役会決議事項とすると、取締役が、将来自分が退職するときにより多くの退職慰労金をもらえるように相場を形成しておくため、退任取締役の退職慰労金を多くするというお手盛りの危険がある。
  よって、お手盛り防止という269条の趣旨に鑑み、退職慰労金も「報酬」にあたると解すべきである。
  イ.ただ、その金額などが株主総会で決定されると、プライバシーなどの点で退任取締役に酷である。また、その具体的な支給について、株主総会が専門的に判断する能力は乏しい。
  ウ.そこで、確立された支給基準に従ってなすことが示されているならば、お手盛りを防止できるから、269条1項に反しないと解すべきである。
  エ.本問では、甲社で確立されていると思われる退職慰労金支給規定に従ってなすことが示されている。
 (3) よって、269条1項に反せず、無効とならない。
2.監査役Bについて
 (1) この決議は、監査役の「報酬」を株主総会決議事項とした279条1項に反し、無効(252条)ではないか。
 (2)ア.まず、監査役の退職慰労金も、通常の職務執行の対価たる性質を有する。
  また、279条1項の趣旨は、取締役の職務執行を監査する必要的常置機関たる監査役の、取締役からの独立性を担保し、もって適正な監査を可能にしようとする点にある。
  とすると、退職慰労金も「報酬」にあたると解すべきである。
  イ.ただ、その金額など具体的支給を株主総会で決定する際の問題については、取締役の報酬と変わりない。
  ウ.そこで、やはり確立された支給基準に従ってなすことが示されているならば、279条1項に反しないと解すべきである。
  エ.本問ではやはり、甲社で確立されていると思われる退職慰労金支給規定に従ってなすことが示されている。
(3) よって、279条1項に反せず、有効である。
第2.決議2
1.取締役Cは乙社に対し、任期満了前に報酬を減額するこの決議は無効であるとして、従前の報酬の支給を請求できるか。
2.(1) 確かに、取締役と会社の関係は委任関係である(254条3項)以上、原則として無償であり(民法648条1項)、会社側は報酬を自由に減額できるとも思える。
   しかし、任期・報酬額も含めて取締役が選任された場合は、その任期・報酬額が取締役任用契約の一内容となると考える。
  とすると、会社側が恣意的にこれを減額することは許されないと考えるべきである。
  (2) ただ、取締役が、任期中の職務内容の変更可能性と、それに伴う報酬の減額可能性を認識し、その減額が職務内容に見合った相当なものであれば、報酬の減額も許されると考えてよい。
3.本問では、具体的事情は明らかではないが、少なくとも非常勤「取締役」も、他の取締役の監視義務(260条1項参照)や重い損害賠償責任(266条・266条ノ3)を負う以上、わずか月額7万円の報酬は、職務内容に見合った相当なものとはいえない。
4.よって、本問決議は許されず、無効であると考える。
したがって、前記請求ができる。
第3.決議3
1.これは、269条1項3号に反し、無効(252条)ではないか。
2.(1) まず、ストック・オプションとしての新株予約権は「金銭ニ非ザルモノ」にあたる。
  (2) また、通常の職務執行の対価としての性質を有するし、お手盛りの危険があると思われるから、「報酬」にあたると考えられる。
  (3) では、「具体的ナル内容」を定めたといえるか。
  確かに、ストック・オプションは、その性質上時宜に応じて機動的に与えることが望まれると思われ、取締役会の決議になじむとも考えられる。
  しかし、同規定があえて「具体的ナル」とした趣旨は、できる限り具体的に株主総会で決議することを求める点にある。
  そして、発行時期及び方法に何ら留保・指定・条件などを付していない本問では、「具体的ナル内容」を定めたとはいえないと考える。
3.よって、269条1項3号に反し、無効である。
 以上
【2005.07.20 Wednesday 21:42】 author : meanlife
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H17商法第2問 評価E
1.X銀行のY社に対する手形金支払請求が認められるためには、Y社が裏書人としての担保責任(手形法77条1項1号・15条1項)を負担し、かつX銀行がY社から抗弁を対抗されないことが必要である。
2.(1) まず、Y社が裏書人としての担保責任を負担するのは、[⊇颪成立し(77条1項1号・13条)、X銀行が遡求条件を具備した場合である。
ア.ここで、振出人Z社は、破産手続開始の決定を受けている(77条1項4号・43条2号前段)ので、その他の要件(44条)を満たせば△鬚澆燭后
イ.(ア) しかし、Y社甲支店長Aの裏書は、実際には保証の趣旨でなされている。
そしてAは、Y社の内規で手形保証をすることを禁じられている。
そこで、無権代理として,鬚澆燭気覆い里任呂覆い。
(イ) この点、手形行為の内容は、手形上の記載通りに決まる。(文言性)
そして、手形上の記載が裏書となっている以上、Aの手形行為は手形保証ではなく、裏書である。
また、裏書人の担保責任は、手形流通促進のため法が特に認めたものである。
(ウ) よって、,鬚澆燭后
(2) では、X銀行はY社から、何らかの抗弁を対抗されないか。
  ア.この点、Aの裏書は実際には保証の趣旨であり、AはY社の内規で手形保証をすることを禁じられているとの抗弁は、手形外の事情に基づく原因関係上の人的抗弁である。
    よってY社は、この抗弁が成立するなら、手形面上直接の相手方たるX銀行に対し、同抗弁を対抗できる。
  イ.(ア) では、上記抗弁が成立するか。
     (イ) まず、Y社甲支店長Aは、社会通念上形式的に「支配人」(商法38条1項)にあたる、と解する。
なぜなら、取引安全のため、社会通念に基づき形式的に判断すべきだからである。
(ウ) とすると、X銀行に、AがY社の内規で手形保証を禁じられていることにつき、悪意又はこれと同視しうる重過失ない限り、上記抗弁は成立しない。(38条3項)
(エ) ただ、Xは銀行だから、Z社への融資条件に見合った信用のある第三者かどうか、Y社の内規まで調査しえたとも思われ、重過失を認めうる。
3.よって、この場合、X銀行はY社に対し、手形金支払請求できない。
                               以上
【2005.07.20 Wednesday 21:41】 author : meanlife
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H17刑法第1問 評価A
第1.乙の罪責
1.まず乙は、A社の倉庫という「建造物」に「侵入」しているので、建造物侵入罪(130条前段)が成立する。
2.(1) 次に乙は、A社の絵画を持って倉庫を出たところでBに発見され、逃げるためBに対し暴行を加え、その後Bは死亡している。
  この行為につき、事後強盗致死罪(240条後段)が成立しないか。
  (2)ア.まず、A社の絵画という「他人の財物」を手に持って倉庫を出ている(「窃取」)から、「窃盗」罪(235条)の実行の着手がある。
  イ.また、乙は警備員Bの「逮捕を免れ」るため、その腹部を強く蹴り上げるという反抗抑圧に足る「暴行」を加えているから、「強盗として論ずる。」(238条)
   ウ.そして、Bの死亡結果は丙の暴行によって生じた可能性もあるが、後述のように丙の暴行については乙丙の事後強盗罪の共同正犯(238条・60条)が成立するので、いずれにせよ死亡結果を乙に帰責してよい。
  (3) よって、乙には事後強盗致死罪が成立する。
3.上記2罪は、罪質上通例手段・結果の関係にあるので、牽連犯となる。(54条1項後段)
第2.丙の罪責
1.丙は、乙の逃走を助けるため、乙と意思を通じた上、Bの腹部を強く蹴り上げるという反抗抑圧に足る「暴行」を加え、その後Bが死亡している。
  この行為につき、事後強盗致死罪の共同正犯(240条後段・60条)が成立しないか。
2.(1)ア.まず、「窃盗」は一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係たる特殊な地位であるから、事後強盗罪は「身分」犯(65条)と解する。
   イ.また、事後強盗罪は財産犯だから、窃盗犯人にしか犯せない真正身分犯と解する。
   ウ.すると、65条1項の問題になると文理上解される。
   そして、非身分者でも身分者に加功して法益を侵害しうるから、「共犯」には共同正犯も含まれると解する。
   エ.よって、丙の暴行については、乙と「共同して〜実行した」(60条)といえ、事後強盗罪の共同正犯までは成立する。
  (2)ア.しかし、B死亡の結果は、丙が乙に出会い事情を認識する以前の、乙の暴行により生じた可能性がある。
     そこで、乙の暴行についても、「共同」「実行」したといえるか。
   イ.そもそも、一部実行全部責任(60条)の根拠は、共同行為者が相互に他人の行為を利用補充することで、一体となって犯罪を実現した点にある。
     そして、既になされた先行者の行為について、後行者との相互利用補充関係は認められないのが原則だが、後行者が先行者の行為と結果を認識し、これを利用する意思で後行行為をしたならば、先行者との相互利用補充関係があるといえる。
     とすると、この場合には「共同」「実行」したといえる。
   ウ.本問では、丙は乙の行為と結果を認識しているが、これを利用する意思までは見出せない。
   エ.よって、乙の暴行についてまで「共同」「実行」したとはいえない。
3.したがって、B死亡の結果を丙には帰責できず、丙には乙との事後強盗罪の共同正犯が成立するにとどまる。
第3.甲の罪責
1.まず、甲は乙に対し、A社の倉庫に侵入することを唆しているので、建造物侵入罪の教唆犯(130条前段・61条1項)が成立する。
2.(1) 次に、甲が乙に窃盗罪(235条)を教唆した結果、乙は事後強盗致死罪を実行している。
ここで、甲に事後強盗致死罪の教唆犯(240条後段・61条1項)が成立するか。甲に同罪の教唆故意(38条1項)があるかが問題となる。
  (2)ア.まず、甲はA社の倉庫には何も保管されていないと思って、窃盗罪を教唆している。かかる未遂の教唆に教唆故意が認められるか。
  肯定する。
  なぜなら、教唆犯の本質は正犯の実行行為を通じて法益侵害する点にあり、正犯が実行行為に出ることを認識していれば足りるからである。
  イ.(ア) 次に、甲は窃盗未遂罪(243条・235条)の教唆故意で、事後強盗致死罪の教唆の結果を生じさせている。かかる抽象的事実の錯誤をどう処理するか。
      (イ) そもそも故意責任の本質は、規範に直面したのにあえて行為に出たことに対する重い非難にある。
     そして、規範は構成要件の形で与えられているから、構成要件間に重なり合いがあれば、その限度で故意責任を問える。
     (ウ) 本問で、窃盗未遂罪と事後強盗致死罪は、窃盗未遂罪の限度で重なり合いがある。
     (エ) よって、窃盗未遂罪の教唆犯が成立するにとどまる。
3.上記2罪は、1個の行為でなされているから、観念的競合となる。(54条1項前段)
以上
【2005.07.20 Wednesday 21:39】 author : meanlife
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H17刑法第2問 評価A
第1.乙の罪責
1.乙が、丙の使者から80万円を受領した行為につき、受託収賄罪が成立しないか。(197条1項後段)
2.(1) まず、乙はB市総務部長という「公務員」である。
  (2) また、乙はB市の広報誌の印刷発注の職務に従事し、これについて便宜を図ってほしいとの甲のメッセージの趣旨を理解して了承しているから、「その職務に関し」甲の「請託を受けた」といえる。
(3) そして、現金80万円という「賄賂」を「収受」している。
3.よって、同罪が成立する。
第2.丙の罪責
1.丙が使者をして、乙に80万円を届けた行為につき、上記乙の受託収賄罪と対向犯となる贈賄罪(198条)は成立しない。
  なぜなら、乙は甲の「請託を受け」ており、丙の請託を受けたとは思っていないからである。
2.よって、丙は不可罰である。
第3.甲の罪責
1.甲が、丙の使者を介して乙に80万円を届けた行為について
 (1) 前述乙の受託収賄罪と対向犯となる贈賄罪(198条)が成立しないか。
 (2) この点、かかる間接正犯的形態でも、「供与」にあたると解する。
   なぜなら、これでも同罪の保護法益たる、公務の公正とそれに対する国民の信頼を害しうるからである。
 (3) よって、同罪が成立する。
2.甲が丙に対し、乙に80万円を届けるように言った行為について
 (1) 詐欺罪が成立しないか。(246条1項)
(2) まず、丙という「人」に、乙が丙に便宜を図ってくれるという虚偽の事実を告げて、錯誤に陥らせているから、「欺いて」といえる。
  これにより丙は、80万円という「財物」を、甲ではなく乙に届けているが、前述のように甲乙間には共通の利害関係があるので、これも「交付」といえると考える。
  (3) よって、同罪が成立する。
3.甲が丙に、80万円の弁償を断念させた行為について
 (1) 2項恐喝罪(249条2項)が成立しないか。
 (2) まず甲は、丙という「人」に対し、乙に80万円を渡して道路工事を受注しようとしたことを公表するという害悪を告知し、丙を反抗抑圧に至らない程度に畏怖させ、80万円の弁償を断念するという財産上の利益処分を要求している。よって、「恐喝」はある。
   その結果、丙は80万円の弁償を断念しているから、甲は「財産上不法の利益を得」たといえる。
 (3) よって、同罪が成立する。
4.罪数
  まず、詐欺罪と二項恐喝罪は、実質的に同一の経済的利益に向けられているから、後者に包括されると考える。
  これと贈賄罪とは、併合罪となる。(45条前段)
                              以上
【2005.07.20 Wednesday 21:39】 author : meanlife
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H17民事訴訟法第1問 評価A
第1.第一審と控訴審の関係
1.控訴審は、第一審の続審である。
2.これは、控訴審において、当事者が第一審における口頭弁論の結果を陳述しなければならない、とする296条2項から読み取れる。
  また、第一審においてした訴訟行為は、控訴審においても効力を有する、とする298条1項からも読み取れる。
3.とすると、第一審と控訴審の口頭弁論は一体性を有する。
第2.控訴審における攻撃防御方法の提出に関する民事訴訟法の規律
1.(1) まず、攻撃防御方法は、訴訟の進行状況に応じ「適切な時期」に提出しなければならない。(297条・156条)
   また、「時機」に後れた攻撃防御方法の却下も、控訴審において準用される。(297条・156条1項)
  (2) この「適切な時期」「時機」は、第一審と控訴審の全体を考慮して判断される。
なぜなら、両者の口頭弁論は一体性を有するからである。
2.(1) また、第一審で争点及び証拠の整理手続を終結等した場合、控訴審で攻撃防御方法を提出した当事者は、相手方の求めがあるとき、争点及び証拠の整理手続を終結等する前にこれを提出できなかった理由を説明しなければならない。(298条2項、167条・178条)
  (2) これは、第一審と控訴審の口頭弁論が一体性を有することから、第一審の争点及び証拠の整理手続が、控訴審の準備的な性格も持つことに基づく。
(※4行くらい削除)
第3.その背景にある考え方
1.攻撃防御方法を、第一審・控訴審を通じいつでも提出できるとすると、当事者は訴訟戦略として、控訴審終結直前まで提出しないということもなしうる。
これでは、相手方の不意打ちとなるし、その審級の利益も害されかねない上、訴訟が遅延・混乱する。
そこで、攻撃防御方法の提出について、時期的な制限がなされているのである。
2.これにより、当事者が攻撃防御方法を第一審の早い時期に提出することが期待され、第一審が充実するだろう。
その結果、当事者の不意打ちも防止しうるし、審級の利益も確保できる上、訴訟の迅速・適正を図れる。
3.また、控訴審は、第一審とは異なる観点から審判することになるだろうから、審級制度の意義が増幅される。
これにより、当事者の裁判を受ける権利(憲法32条)の保障がより手厚いものとなるのである。
                             以上
【2005.07.20 Wednesday 21:37】 author : meanlife
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H17民事訴訟法第2問 評価A
第1.1の場合
1.まず、甲の請求を認容した前訴判決確定により、執行力が生じる。(民事執行法22条1号)
  すると、甲はこれにより、A土地を未だ明け渡さない乙に強制執行をかけることができる。
よって、前訴と同じ訴訟物である後訴は、訴えの利益(本案判決を下す必要性・実効性を、個々の訴訟物につき吟味するための訴訟要件)が認められないとして却下されるのが原則である。
2.しかし、時効中断の必要があるなどの事情があれば、例外的に訴えの利益が認められる。
3.したがって、かかる事情があるかが、後訴において審理判断の対象となる。
第2.2の場合
1.(1) まず、甲の請求を認容した前訴判決確定により、「既判力」が生じる。(114条1項)
   これは、確定判決の主文中の判断に生じる、後訴裁判所・当事者への拘束力であり、紛争蒸し返し防止のため、当事者への手続保障を根拠として正当化される。
  (2) この既判力の客観的範囲は「主文に包含されるもの」、つまり訴訟物の範囲である。
  なぜなら、訴訟物に既判力を及ぼせば紛争蒸し返しを防止できるし、当事者は訴訟物を焦点に攻防を展開しており手続保障も充分だからである。
  よって本問では、前訴の訴訟物である、甲の乙に対する所有権に基づくA土地明渡請求権の存在につき、既判力が生じる。
  (3) しかし、かかる権利関係は変動するため、基準時を定める必要がある。
  そこで、口頭弁論終結時を基準時とすべきである。
  なぜなら、裁判所はそれまでに提出された資料を基礎として判決を下すし、当事者はそれまで自由に資料を提出でき、手続保障も充分だからである。
  (4) よって本問では、前訴口頭弁論終結時の、甲の乙に対する所有権に基づくA土地明渡請求権の存在につき、既判力が生じる。
2.そして、乙の後訴の訴訟物は、乙の甲に対する所有権に基づくA土地明渡請求権であるから、前訴の訴訟物とは異なる。
  よって後訴は、前訴判決の既判力に触れない。
3.ただし、前訴で乙が充分に争えたなどの事情があれば、信義則(2条)により却下されると考えるから、この点が後訴で審理判断の対象となる。
第3.3の場合
1.まず、甲の請求を棄却した前訴判決確定により、前訴口頭弁論終結時の、甲の乙に対する所有権に基づくA土地明渡請求権の不存在につき、既判力が生じる。
2.これは、当事者に及ぶのが原則である。(115条1項1号)
  なぜなら、これで紛争解決できるし、手続保障も充分だからである。
3.ただ本問では、「口頭弁論終結後の承継人」にあたると解される丙にも及ぶ。(115条1項3号)
4.よって、前訴口頭弁論終結後の新事由があるかが、後訴で審理判断の対象となる。
以上
【2005.07.20 Wednesday 21:35】 author : meanlife
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