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【2013.07.25 Thursday 】 author : スポンサードリンク
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H17刑法第1問 評価A
第1.乙の罪責
1.まず乙は、A社の倉庫という「建造物」に「侵入」しているので、建造物侵入罪(130条前段)が成立する。
2.(1) 次に乙は、A社の絵画を持って倉庫を出たところでBに発見され、逃げるためBに対し暴行を加え、その後Bは死亡している。
  この行為につき、事後強盗致死罪(240条後段)が成立しないか。
  (2)ア.まず、A社の絵画という「他人の財物」を手に持って倉庫を出ている(「窃取」)から、「窃盗」罪(235条)の実行の着手がある。
  イ.また、乙は警備員Bの「逮捕を免れ」るため、その腹部を強く蹴り上げるという反抗抑圧に足る「暴行」を加えているから、「強盗として論ずる。」(238条)
   ウ.そして、Bの死亡結果は丙の暴行によって生じた可能性もあるが、後述のように丙の暴行については乙丙の事後強盗罪の共同正犯(238条・60条)が成立するので、いずれにせよ死亡結果を乙に帰責してよい。
  (3) よって、乙には事後強盗致死罪が成立する。
3.上記2罪は、罪質上通例手段・結果の関係にあるので、牽連犯となる。(54条1項後段)
第2.丙の罪責
1.丙は、乙の逃走を助けるため、乙と意思を通じた上、Bの腹部を強く蹴り上げるという反抗抑圧に足る「暴行」を加え、その後Bが死亡している。
  この行為につき、事後強盗致死罪の共同正犯(240条後段・60条)が成立しないか。
2.(1)ア.まず、「窃盗」は一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係たる特殊な地位であるから、事後強盗罪は「身分」犯(65条)と解する。
   イ.また、事後強盗罪は財産犯だから、窃盗犯人にしか犯せない真正身分犯と解する。
   ウ.すると、65条1項の問題になると文理上解される。
   そして、非身分者でも身分者に加功して法益を侵害しうるから、「共犯」には共同正犯も含まれると解する。
   エ.よって、丙の暴行については、乙と「共同して〜実行した」(60条)といえ、事後強盗罪の共同正犯までは成立する。
  (2)ア.しかし、B死亡の結果は、丙が乙に出会い事情を認識する以前の、乙の暴行により生じた可能性がある。
     そこで、乙の暴行についても、「共同」「実行」したといえるか。
   イ.そもそも、一部実行全部責任(60条)の根拠は、共同行為者が相互に他人の行為を利用補充することで、一体となって犯罪を実現した点にある。
     そして、既になされた先行者の行為について、後行者との相互利用補充関係は認められないのが原則だが、後行者が先行者の行為と結果を認識し、これを利用する意思で後行行為をしたならば、先行者との相互利用補充関係があるといえる。
     とすると、この場合には「共同」「実行」したといえる。
   ウ.本問では、丙は乙の行為と結果を認識しているが、これを利用する意思までは見出せない。
   エ.よって、乙の暴行についてまで「共同」「実行」したとはいえない。
3.したがって、B死亡の結果を丙には帰責できず、丙には乙との事後強盗罪の共同正犯が成立するにとどまる。
第3.甲の罪責
1.まず、甲は乙に対し、A社の倉庫に侵入することを唆しているので、建造物侵入罪の教唆犯(130条前段・61条1項)が成立する。
2.(1) 次に、甲が乙に窃盗罪(235条)を教唆した結果、乙は事後強盗致死罪を実行している。
ここで、甲に事後強盗致死罪の教唆犯(240条後段・61条1項)が成立するか。甲に同罪の教唆故意(38条1項)があるかが問題となる。
  (2)ア.まず、甲はA社の倉庫には何も保管されていないと思って、窃盗罪を教唆している。かかる未遂の教唆に教唆故意が認められるか。
  肯定する。
  なぜなら、教唆犯の本質は正犯の実行行為を通じて法益侵害する点にあり、正犯が実行行為に出ることを認識していれば足りるからである。
  イ.(ア) 次に、甲は窃盗未遂罪(243条・235条)の教唆故意で、事後強盗致死罪の教唆の結果を生じさせている。かかる抽象的事実の錯誤をどう処理するか。
      (イ) そもそも故意責任の本質は、規範に直面したのにあえて行為に出たことに対する重い非難にある。
     そして、規範は構成要件の形で与えられているから、構成要件間に重なり合いがあれば、その限度で故意責任を問える。
     (ウ) 本問で、窃盗未遂罪と事後強盗致死罪は、窃盗未遂罪の限度で重なり合いがある。
     (エ) よって、窃盗未遂罪の教唆犯が成立するにとどまる。
3.上記2罪は、1個の行為でなされているから、観念的競合となる。(54条1項前段)
以上
【2005.07.20 Wednesday 21:39】 author : meanlife
| H17論文本試験 再現答案 | comments(7) | trackbacks(0) |
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【2013.07.25 Thursday 21:39】 author : スポンサードリンク
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この記事に関するコメント
私も今年の論文試験を受けました。

他の科目が文句がつけようも無いほどできがよいと思いますので。特に、憲法の一問めは充実したあてはめってこういうことなのかぁと思って感心します。
全般的に思ったことは、答案のスタイルが確立されていてとても読んだ方にいい印象を与える答案だとうなぁ、ということです。

さて、この問題は書くことがとても多かったですよね。私も4ページいっぱいまで書くことになってしまいました。
気づいた点だけ記述しますね。

結果的加重犯の共同正犯は、基本犯の共同正犯が成立すれば成立する、というのは、一応論点ですね。ここは乙・丙両方の罪責に関係するので、きっちり論述したほうが良かったと思います。

それから、事後強盗の共同正犯は、承継的共同正犯とするのか、共犯と身分とするのか、どちからで処理するべきですが、この部分が混乱しているようです。共犯と身分で処理した以上、当然先行者の暴行から生じた結果についても因果関係が肯定されます。
承継的共同正犯とすると、事後強盗の場合、後行者に強盗致死の罪責を負わせることは実際上ありえない(後行者が先行者の反抗抑圧状態を利用することはありえませんよね)ため、不都合だと思いませんか?

ということで、刑法総論はちょっとだけ沈んでいるかもしれません(でも本当にたいしたことはないと思いますよ)が、他の科目がすばらしいのであまり気にしないでください。

さて、私の開設している「司法試験合格プロジェクト」というホームページで「司法試験wiki」というコーナーを作りました。もし時間があったらいいのですが、この wiki の作成にご協力いただけませんでしょうか?

http://gouproj.s146.xrea.com/wiki/

ちなみに、口述対策ってどうされます?
| れっつ | 2005/07/27 9:36 AM |
コメントありがとうございます!
論文試験お疲れさまでした。
すごいお褒めの言葉までいただいてしまって…恐縮です。
れっつさんの再現答案構成もザッと拝見しましたが、憲法第1問のあてはめは、僕より充実している部分も多いと感じました。評価がきちんとされている感じで。
あと、憲法第2問がすごくきれいにまとまっていていいと思いました。
向こうでのコメントのつけ方が分からなかったので、こちらでコメントさせていただきました。

結果的加重犯の共同正犯は、基本犯と相当因果関係ある加重結果についてのみ成立するという説に立つので、論じなくていいと判断しました。どこか勘違いしてるかもしれませんが。

身分犯説+承継的共同正犯については、確かに懸念があります。辰巳の直前答練のズバ的問題を勉強会で検討したのを覚えていて、少し賭けに出てしまいました。
不都合性については、なるほどです。考えてみます。

成績は、身分犯説+承継的共同正犯がどうとられるか次第かな、という気がします。辰巳直前答練と心中です。笑

HPのぞいてみたのですが、すごくしっかりした作りですね。
僕でも協力できる範囲ならば、やぶさかではないのですが、どういう協力をお求めでしょうか。
ちなみに当方のパソコンスキルはゼロに近いですよ。笑

口述対策も、やはりまず過去問やってます。
とりあえず、定義・趣旨・要件・効果・判例についての質問をザッとチェックしてます。
明日あたりにでも、詳しく記事にすると思います。
| meanlife | 2005/07/27 10:13 AM |
お返事ありがとうございます。口述対策の件、楽しみにしていますね。

基本的に、私のホームページの方は、気が向いたら各自が勝手に更新するというスタイルで・・・私のほうではごちゃごちゃにならないように注意しているぐらいだと思います。

wikiだとブログよりもページの編集や整理が容易です。定義へのリンクなんかも勝手にやってくれるので。

もし良かったら、ご自身のページの整理に使用していただけると良いかと思います。

ということで、これをお願いしたい、ということは特にありません。

ちなみに、パソコンスキルは当初は要るかな、と思ったのですが、wikiにしたので必要なくなりました。ブログがかける+wikiについてのちょっとした理解があれば大丈夫です。

ぜひぜひご検討ください。もしお試しでもご参加いただけるのであれば、スタートページを作成しますので、私の方へメールいただくか、メンバー掲示板のほうに書き込みよろしくお願いいたします。確かにブログのようにアクセスは多くは無いと思いますが、使ってみると、便利さがよくお解かりになると思いますよ!
| れっつ | 2005/07/27 3:24 PM |
ちなみに・・・ワードで作成されたページをあげることもかのうですよ・・・といってもこれは僕のほうでちょっと作業しないといけないんですが・・・(私のページのPDFで論文過去問みたいなかたちにできます)

すぐには対応できるか分かりませんが、もしご希望でしたら私の方にワードのファイルをメールで添付してください。

| れっつ | 2005/07/27 6:16 PM |
コメントくださっているのを気づかなくて、返事遅れました。すみません。

ページの整理に使えるのですね。
う〜ん、でも、このブログのカテゴリ分けだけでヒィヒィ言ってるので、使いこなせない自信ありありです。
具体的に、どのような整理に使えるのでしょうか?
そちらでも新たにスタートページに書き込み等しなくてはいけないのであれば、かなり二の足を踏んでしまいます。
このブログを、一つの完結した作品として残したいので…。

その観点から、このブログから、ワードで作成されたページに飛んでいけるようにできるならいいなあ、とは思いました。
でも、ワードファイルって、ファイル名に実名が出ちゃうことに気づきまして…たぶん設定次第で回避可能なんでしょうけど、よく分かりません。
なので、メールで送ったらばれちゃうなあ、と。
面識ない方に実名さらすのは、抵抗があります。

なんだか、消極的なのにしつこくてすみません…。
| meanlife | 2005/07/28 5:46 AM |
お返事ありがとうございます。
ちょっとのりきになられないようですね(笑)
wikiの便利なところはまあ、いろいろあるんですが・・・ここで書ききれるほど私も知っているわけではないので、あえて書きません。
何度もお誘いして申し訳ありませんでした。
また気が向いたらいつでもよってやってください。
あ、ちなみに、このブログへのリンクをはらせていただいて良いですか?
内容がとても充実されているので、是非参照させてください。よろしくお願いいたします。
| れっつ | 2005/07/28 8:00 AM |
すみません。
興味はあるのですが、障害がたくさんあって、尻込みしている状態です。
お誘い、ありがとうございました。

リンク、はっていただいて結構です。
よろしくお願いします。
| meanlife | 2005/07/29 6:15 AM |
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