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【2013.07.25 Thursday 】 author : スポンサードリンク
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H16刑法第1問 評価G
機々辰虜畧
1.甲は殺意をもって、出刃包丁でAの腹部を1回突き刺すという殺人結果発生の現実的危険ある実行行為をしたが、これによるA死亡の結果は発生していないから、殺人未遂罪(199条・203条)の構成要件に該当する。よって違法性・有責性が推定され、それぞれの阻却事由も見当たらないから、同罪が成立する。
2.ただその後甲は、タオルで止血等している。これが「自己の意思により犯罪を中止した」ものと言えれば、刑が任意的減軽(43条本文)にとどまらず必要的に減免される(43条但書)ので、その意義について検討する。
(1)そもそも中止犯の刑が必要的に減免される根拠は、既になされた違法・有責行為への可罰評価が、中止行為への恩賞的評価により減殺される点にある。
(ア)とすれば、まず「自己の意思により」という主観的要件は有責性減殺の観点から解釈・検討すべきであるが、甲は犯行を悔悟しているのでこの要件は明らかに満たす。
(イ)また、「犯罪を中止した」という行為は主観と客観の統合体であるから、違法性・有責性減殺の両面から解釈・検討すべきである。
 具体的には、まず違法性減殺の面から、|羯濆坩戮砲茲辰独蛤畄覯免生を防いだといえることが必要だと考える。また責任減殺の面から、⊆ら積極的に犯罪結果発生を防止したのと同視しうる程の努力も必要だと考える。
(2)本問で甲は確かに、Aと同居しているほどの仲である友人乙の「119番通報をした」との言を信じたため、これに「くれぐれも、よろしく頼む。」と言って任せたのである。
 しかし結局甲はその場から逃げ出しており、たとえ119番通報がなされたとしても最後までAの救命という犯罪結果発生防止のため責任をもって行動したかどうか疑わしい。これでは⊆ら積極的に犯罪結果発生を防止したのと同視しうる程の努力をしたと言えるか微妙なところである。
 しかも、そのまま放置されれば失血死する状況にあったAの死の結果発生防止は、甲の止血行為等によるところはほとんどなく、発見・救助した隣室のBによるものというべきである。よって、,亘たさない。
(3)したがって甲は「犯罪を中止した」とはいえず、その刑は任意的に減軽されるにとどまる。
3.甲はかかる罪責を負う。
恐気虜畧
1.乙は、Aが死んでしまった方がよいという殺意をもって、Aを放置したまま外に出て行った。かかる不作為が殺人罪の実行行為にあたるか。
(1)199条は「殺した」と作為の形で実行行為を規定しているが、不作為でも死の結果が発生しうる以上、人の生命という法益を保護する必要がある。
(2)しかし、(a)作為義務のない者や(b)作為不可能・困難な者に作為を要求したり、(c)構成要件的結果発生の現実的危険ない不作為まで禁止したりしていては、罪刑法定主義による行動の自由保障を過度に害する。
 そこで、(a)作為義務があり(b)作為可能・容易な者の(c)構成要件的結果発生の現実的危険ある不作為は、例外的に実行行為にあたると解すべきである。
(3)本問乙は、(a)Aと同居している家の玄関内という排他的領域で、甲に「後のことは任せろ」といってAの救命を引き受けており、(b)119番通報等の救命行為をするのは可能・容易であるのに(c)そのまま放置されれば失血死する状況にあったAを放置したまま外出しているから、殺人罪の実行行為をなしている。
2.そして、やはりこれによる死の結果が発生していないから殺人未遂罪の構成要件に該当する。よって違法性・有責性が推定され、それぞれの阻却事由も見当たらないから、同罪が成立する。
3.乙はかかる罪責を負う。
                                           以上
【2004.10.23 Saturday 08:57】 author : meanlife
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【2013.07.25 Thursday 08:57】 author : スポンサードリンク
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この記事に関するコメント
(出題趣旨)
 本問は,殺害行為に及んだ者が翻意して被害者を救助しようとしたが,別の者が殺意をもってその救助を妨害して被害者を放置したという事例を素材として,事例を的確に把握してこれを分析する能力を問うとともに,中止犯の成立要件に関する理解及びその事例への当てはめの適切さ並びに不作為を含む殺人の実行行為に関する理解を問うものである。
| | 2004/11/28 6:07 AM |
「本問は,殺害行為に及んだ者が翻意して被害者を救助しようとしたが,別の者が殺意をもってその救助を妨害して被害者を放置したという事例を素材として」
・毎年使われている「〜という事例を素材として」のフレーズ。刑法における事例はあくまで「素材」にすぎず、一義的な正解はない。その処理過程を通して「能力」等を見たいのだ、というメッセージだと俺は受け取っている。

「事例を的確に把握してこれを分析する能力を問う」
・このフレーズ、例年は各論で使われていた。
・論理的思考力とか、整合性とか、そういうフレーズがない。

「中止犯の成立要件に関する理解及びその事例への当てはめの適切さ」
・「理解」が何を意味するか明らかでない。しかし「当てはめ」と並記されていることからすると、規範定立過程の論証と考えていんだろうか。
・今まで「当てはめ」というフレーズが明示的に使われたのは、商法のH14-2とH15-2だけだった。ついに刑法に進出。その代わりというか、商法からはこのフレーズが消えた。
・「当てはめの適切さ」とあるが、これは当てはめによって導いた結論の「適切さ」までは含まないと思う。このコメントの冒頭に書いたことがその理由。どの要件について、どの事情をピックアップして、どう評価するか、ということくらいまでが「適切さ」の意味するところだと思う。ここに「事例を的確に把握してこれを分析する能力」が現れうる。

「不作為を含む殺人の実行行為に関する理解」
・「不作為を含む」なので、やはり作為とのミックスだったわけだ。
・「理解」なのである程度論証必要か。ただ、再現答案見る限り、普通に実行行為の定義を挙げて、不作為犯の論証すればよかったみたい。ここにも前述の「事例を的確に把握してこれを分析する能力」が出てきうる。
・この点については「当てはめ」は明示的には要求されていない。なぜだろう。要件が明確じゃないからか?
| meanlife | 2004/12/01 6:09 AM |
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